とあるシーンを99通りで表現する本「文体練習(レーモン・クノー 著、朝比奈弘治 訳)」を読んだ感想。

趣味の話。

読んだ本の話。

 

「言葉遊びが好きならこんな本ありますよ」と言われて友人から借りた本がある。

文体練習(レーモン・クノー 著、朝比奈弘治 訳)。

文体練習 単行本 – 1996/10/31(Amazon)

 

 

内容は

「中折れ帽をかぶっている首の細長い男が、友人に『コートの首元が開きすぎているからボタンをもう一つ付けた方がいい』と言われる話」

を、様々な視点や表現方法で書いている。99種類。

 

友人と会う駅名が出てきたり、移動中のバス内で足を踏んだだのイチャモンをつけたり、中折れ帽のリボン部分が編んだ紐だったり、色々情報はあるが、大まかにはこんな↑感じ。

正直、目次を見た時点では意味不明だった。

なにせ知らない単語が多すぎる。

そして単語を検索しながら読み進めてゆくことになる(隠喩、アニミズム、荘重体、ソフト帽、ソネット、リポグラム、など)。

 

読む前は

「同じ内容を伝える際に99通りもの表現ができるのか。凄いな。」

と思っていたが、

 

読んだ後の感想は

「全く分からないものも多かったが、新鮮だったし楽しかったし、まあいいか。」

である。

 

赤文字や太文字、文字が踊る(曲がる、はみ出す、など)などの表現もあるのだが、それに意識が持っていかれてしまって内容が入ってこないことも多い。

人物を「納税義務者」と太字で表現したものがあったが、あれは特に頭に入ってこなかった。

 

 

私が特に好きなものを紹介しておこう。

 

「5.逆行」

起こった出来事を逆から説明している。

へー、こんなこともできるのかと感動した。

 

 

「21.区別」

親切なのか自虐なのか、余計なカッコ書きがある。

本来の内容が頭に入ってこないが、カッコ内の言葉がメインなのでこれでいい。これがいい。楽しい。

私も過去に

「原文ママ(原文のお母さんというわけではない)」

のような親切な(?)カッコ書きをしたが、ここまで詰め込めるとは素晴らしい。好き。

 

 

「32.・・・・・・ていた」

「31.・・・・・・た」と似ている。

このような書き方は案外やりがちなので気をつけよう。

「よかっていた」は笑った。

 

 

「37.語中音消失」

「単語の最初と最後だけ合っていれば、中間は入れ替えても意味が通じる」という実験に似ている。

タイポグリセミア(ニコニコ大百科)https://dic.nicovideo.jp/a/typoglycemia

 

「アドバイスをすること」を、「アドバる」と表現する方法は普通に存在しそうだな。

 

  

「59.電報」が一番分かりやすかったのは、余計な情報が入っていないからだろう。

「66.短歌」はさすがに情報が少なすぎたが、「53.ソネット」や「33.アレクサンドラン」は十分伝わった。

 

「72.だぐでん」や「81.ちんぷん漢文」はタイトルが好き。

漢字の羅列でもなんとなく伝わるのは、MTGの中国語版がなんとなく読めるのに似ている。

 

面白い本と出合わせてくれた友人に感謝。

内容的に普通に生きていたら絶対に出合わなかった本だ。価格も4,000円近いしな。

ほぼ借りパク状態だったが、返せてよかった。

 

 

 

ただの日記・・・

 

今日は15度と暖かかった。

暖房の効いた室内のほうが寒かった気がする。

明日はもっと暖かいらしい(18度)が、また寒くなるので油断せずに行こう。

 

北朝鮮が長距離弾道ミサイルを発射したらしい。

なんだか世の中が慌ただしいなあ。

交通事故のニュースもそうだが、いつ死んでもおかしくないと思える。

まあ私は生きるけども。

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